日本基督教団  京都教区ニュース THE UNITED CHURCH OF CHRIST IN JAPAN -KYOTO DISTRICT 発行人:今井牧夫 編集人:内山友也 今総会期第2号 発行:2020年3月6日 〒602-0917 京都市上京区一条通室町西入東日野殿町394-2京都教区事務所 TEL:075-451-3556/FAX:075-451-0630/Eメール:info@kyoto@-uccj.com/教区HP:http://www.uccj-kyoto.com/ 不登校・ひきこもりの青少年や家族と共に歩む特設委員会委員長・宇治教会 早瀬和人 正月、雑煮を食べながら「雑」の字を見つめ、「雑煮、雑草、雑木、雑穀、雑種…」皆おいで!と呼びかけられているような優しさを、同時にそのままでいいじゃん!という慰めを、更に対立や分断が広がる社会だからこそ、“雑”の心を大切にし寛容さを身につけなアカンな〜と感じたのでした。教会暦ではレントに入りましたが、今一度クリスマスを振り返ります。 マリア・ヨセフ: ♪トントントン、宿屋さん。 どうか一晩泊めてください♪ 宿屋:♪困った困った、どうしましょう。 馬小屋でしたら空いてます♪ これは宇治教会附属愛児園の園児らが演じた降誕劇の台詞です。台本にはありませんが、(長旅で疲れたんよ。お願い休ませて…)と悲痛な声を上げるマリア・ヨセフの姿を重ねて見ています。クリスマスの出来事、そこに現代社会の一風景を垣間見るような気がするからです。  さて教区「不登校・ひきこもりの青少年や家族と共に歩む特設委員会」では、不登校やひきこもりの問題を抱える当事者やその家族の悩み苦しみを、各教会・伝道所の宣教課題と受けとめられるよう願い活動しています。  昨年、ひきこもり傾向にあった者による児童殺傷事件や、ひきこもり状態の息子を父親が殺害するという凄惨な事件が立て続けに起こりました。その後「ひきこもり」への誤解や偏見がより一層強まっていますが、当委員会では事件とひきこもりを短絡的に結びつけてしまう社会のありように“否”を唱え、改めて想像力を持って向き合ってゆく課題も突きつけられました。今、どのようなスタンスが求められているのか、学びと研修を深めているところです。 ところで、教会・伝道所では「あるがままでいいんだよ」と語ったり、「doing(〜すること)よりもbeing(存在そのもの)を大切に」といった言葉を専売特許のように語っていることでしょう。とはいうものの本当に教会は、beingを受け止めきれているだろうか?beingよりもdoingの方が上位にあるのではないだろうか?と問うています。 現代ではbeingよりもdoingの方が圧倒的に優先される社会です。不登校やひきこもりのただ中にある人たちは、そんな社会に違和感や疑問を感じつつ自分の身を守ろうと生きています。でも劣等感を抱えて人と比べてしまいがち。それを乗り越えるには強者に憧れ、自分を強くしなければますますダメになる…と頑張り、結果、うまくできずもがき苦しみストレスを溜めてゆく…。不登校・ひきこもりを経験してきた我が子たちと共に生活しながら痛感しています。 キリストの福音は、弱さ抱えるものの側に寄り添い、また異なる思想信条や異なる相手を異なったままうけとめ認めあう、そんな知恵や力を持っています。その力を発揮し、“不登校・ひきこもりの青少年や家族と共に歩んでくださる”イエスの姿を喜びながら、beingを大切にしてゆく教会であり続けたいのです。  降誕劇をみて人々の“居場所”を思い、また雑煮を食べながら考えたこと。それは心のどこかに(信仰もって強く生きなきゃ)という思いや、(人に迷惑かけるな。自分で自分の責任はちゃんととれ)と、社会に蔓延する自己責任論の空気が教会の中にも漂っていないだろうか?という自省の念です。  「どうか逃げることなく『疲れた者、重荷を負う者は誰でも…』との御言葉に応えてゆけるように。イエス様と共にご用をなす勇気が与えられますように」と祈りつつ…。 京都教区総会議長・京北教会 今井牧夫  今回交流の詳細な「報告書」を参加者感想文も含めて作成し、各教会・伝道所に届けるのでぜひ御覧願う。以下は概要である。2019年11月4日(月)〜8日(金)に京都教区は、韓国基督教長老會大田老會との交流20周年記念行事に15名を韓国に派遣した。「大田(テジョン)」とは韓国中西部の大都市で、老會とは教区を意味する。京都教区は1998年「交流開始の同意書」に調印して大田老會と交流を始めた。その際に京都教区は自主的に「謝罪と意志表明」の声明を発表し、かつて戦争と植民地支配を行った日本の国としての罪責、またそれに加担した当時の教会の罪責を自覚して謝罪し、今後に向けた取り組みの意志を表明した。それから20年。交流の初期はぎごちない雰囲気もあったと言われるが、双方の祈りと奉仕により20年を経て、交流が深化したと言えよう。 〈1日目〉 仁川空港着後、先方に迎えられて天安(チョナン)サルリム教会へ車で移動。夕方に宣教協議会が開催され、大田側は南北統一に向けた課題、京都側は教勢推移と地域宣教の課題を発題して質疑応答をした。その晩に歓迎会が持たれた。 〈2日目〉 午前に、交流20周年記念礼拝が韓城(ハンソン)教会を会場に行われた。この礼拝は大田老會全体での臨時老會(総会)の開会礼拝を兼ねたことで、老會全教会の代議員と共に行う素晴らしい礼拝となった。礼拝で京都教区15名は讃美歌21-57番「ガリラヤの風かおる丘で」を合唱して感謝を献げた(掲載写真)。また、最近の日韓両政府の関係悪化を憂えて祈り、日韓双方が歴史を直視し真摯に行動して事態を打開することを願って、両教区・老會で事前に共同作成した「韓日間の平和を願う共同声明」を朗読した。午後に交流20周年記念として、大田老會の方々の韓国舞踊や合唱などの後、歌手の沢知恵さんによるピアノ弾き語りコンサートが行われた。母が韓国人、父が日本人の沢さんは、日・韓・英の三ヶ国語を駆使した素晴らしい歌と演奏、そして日韓の歴史のなかで歩んで来られたご自身の貴重な経験に基づくお話をされ、大きな感動が会場に満ちた。その後、双方実務者の会議を開いて次年度交流計画を検討した。 〈3日目〉 午前、天安(チョナン)平和公園を散策して歴史を学んだ後、「望郷の丘」の名の広大な国立墓地を訪れ、異国で逝去した在日・在外韓国人や、かつて軍隊「慰安婦」とされて後に人権回復運動に尽くした被害者など、様々な苦難の歴史を歩んだ方々を国として追悼する国立墓地を訪問し、黙祷する静かなときを持った。その午後、堤岩(チェアム)教会とその歴史記念館を訪問した。この教会には以下の歴史がある。日本が朝鮮半島を強制併合して植民地支配していた時代、1919年3月1日に朝鮮半島全土で日本の横暴な支配に対して民衆が立ち上がる「3.1独立運動」が起きた。その運動を日本は武力で弾圧し、その一環として同年4月15日、この教会に堤岩里(チェアムリ)地域の住民を日本の憲兵がだまして集め、銃殺と焼き討ちにより20余名の朝鮮人を教会で殺害した。この地に現在、再建した教会と記念館が共に立つ。その「3.1独立運動」から100周年の今回、京都教区15名はその事件の詳細を学んで日本の罪責を心に刻みつつ、犠牲者の墓前で深い黙祷を献げた。その後、大田の広大な独立記念館を訪れて貴重な展示を見学した。その夜、天安サルリム教会主催で地域に開かれた講演会が開かれ、「日本軍『慰安婦』問題と韓日連帯」と題して京都教区の谷口ひとみさんが講演し質疑応答、会後に懇親会が持たれた。 〈4日目〉 この日は観光を兼ねて韓流ドラマ撮影セットのテーマパーク(20世紀初頭・中頃の各時代の韓国の街並みの精密な再現)に案内され、本物と見まがう質の高さに感心し、散策を楽しんだ。その午後に大田老會の教会を訪問後、百済時代の宮殿遺構を復元した広大な歴史施設や、古代百済の発掘資料を収めた国立博物館を見学した。その後に百済の伝説が残る美しい川べりに行き、沈む夕陽のもとで解説を聞き、古代朝鮮半島の世界に思いを馳せた。その晩に心暖まる歓送会をして下さった。 〈5日目〉 名残が尽きない中で大田老會の皆様に見送られ、バスで仁川空港へ行き帰国した。 以上が主要日程である。移動はほぼすべて大田老會の教師・信徒の運転で行われ、とびきり美味しい食事のご用意をいただき、本当に細やかな心遣いのもとで充実した5日間を過ごした。宿泊は韓国伝統家屋を再現した宿泊研修施設に4泊した。今回のプログラム全体に中心的に関わられた韓鐘実(ハン・ジョンシル)教師と崔亨黙(チェ・ヒョンムク)教師を始め、実に多くの大田老會信徒・教師そして地域関係者の方々にお世話になったことを心から感謝する。また、京都教区の皆様のお祈りと献金、「大田老會との交流小委員会」の李相勁(イ・サンキョン)委員長はじめ委員のご奉仕に感謝する。 2020年度には大田側から来日いただき第13回交流プログラムを開催する。京都教区の皆様のお祈りとご協力を切望する。「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。」(ヨハネによる福音書14章27節) アジア宣教活動委員会 ネパール・プロジェクト・平安教会 桝田翔希 荊冠の主を賛美します。 2019年でワークキャンプが始まってから40周年という記念の年を迎えることができました。皆さまの祈りやご支援の中で、長きにわたり青年たちをネパールに派遣する活動を続けることができ、感謝しております。現在、40周年を記念した記念誌も作成中です。今年度は4年ぶりとなったワークキャンプを8月に行うことができ、石田香織さん(京都葵教会)、大塚勁さん(紫野教会)、坂本佳也さん(福島伊達教会)、他谷尚さん(同志社中高)の4人を派遣することができました。今回はカトマンズでの滞在を中心とした活動となり、主に二つの団体の活動を数日にわたり見学・参加させていただきました。まず衛生教育や教育活動、レンガ工場(粉塵による労働 者の健康被害や、不安定な雇用形態が問題となって いる)での医療活動などを行っておられる NGO の Care and Development Organization、次に 病院の少ない地域での医療活動や、障がいを持つ子 どもたちへの教育活動などを行っておられる NGO の Human Development and Community Service の二団体です。  どちらの団体もネパールの社会問題に対して「草の根」の活動をしておられ、これまでのワークキャンプでも多くの学びをさせて頂いてきました。加えて両団体は設立時より、カトリック教会や日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)等をはじめとした キリスト者が関わりを持っています。今回のワークキャンプでもそれぞれの団体がされている活動を見せていただきながら、様々な社会問題を学ぶだけではなく、ネパールの食事や習慣といった文化も学ぶことができました。当ワークキャンプでは、日本から引率のものが付き添うという形ではなく、現地では基本的に青年たちだけ活動しています。青年たちがネパールで学んだことや感じたことを、報告書を通して分かち合うことができればと思っております。報告書は2月に完成し、追って京都教区の教会・伝道所にお届けしたいと思っています。また、ワークキャンプメンバーによる報告会も随時行われています。皆さまの教会で報告会ができればと望んでおります。  加えまして、2014年に発生したネパール大地震の支援金を多くお寄せいただきましたことを感謝いたします。当初より5年を目途に支援金の計画をしておりましたので、この年をもって支援金のお願いを一旦終了させていただくこととなりました。今回のワークキャンプでも、2つのNGOに支援金をお渡しすることができました。元々は震災支援としてお願いしておりましたが、ワークキャンプが派遣される時期にネパールでは大雨災害が起こっていたことに鑑み、話し合いました結果、特に震災被害の為と定めず災害に広く用いていただくことにさせて頂きました。  「共に生きるために」という呼びかけに応える形でワークキャンプが始まって、40年の時が過ぎました。この間ネパールと日本の状況は大きく変化しました。しかし、時代が変わる中でも「共に生きるために」私たちに何ができるのか、人と人とが直接出会いながら進められる「草の根」の活動とは何なのかという問いかけは変わっていません。これからもワークキャンプの取り組みを通して、ネパールで生活する人々の只中に青年を派遣し、人々を愛し人々から学ぶことを大切にしていきたいと願っています。 各地区・青年からの便り 滋賀地区長 近江八幡教会 深見祥弘 京都教区滋賀地区は、17教会2伝道所、教団教会関係幼稚園6園、保育園3園、及び教団関係学校1学園で、止揚学園とも交流をしています。2019年度滋賀地区は、「交わりと宣教」に心を向けて働きをしました。  まず地区信徒会が企画運営する滋賀地区信徒大会を紹介します。信徒大会は、9月23日彦根教会を会場に、同志社大神学部教員関谷直人さんを講師に迎え「いのち輝かせるために 今死と向き合おう」をテーマに学びをし、信徒・教師等100名余りが交流の時を持ちました。地区内教師は、8月と12月を除く毎月教師会を開催し、情報や課題の共有に努めました。さらに3つのブロック(滋賀西、滋賀中、滋賀東)を設けて交流を深めています。次に滋賀地区は、「靖国・平和・部落差別」を宣教の課題としています。8.15集会、2.11集会は、市民の方々と共に実施しています。今年度は8月11日、大津教会を会場に金井創さん(佐敷教会牧師、辺野古抗議船船長)を迎え「沖縄・辺野古の抗議船「不屈」から平和を問う!!」と題して集会を行ないました。また2月11日、解放県民センターで菅孝行さんを講師に「なぜ天皇制にこだわるのか?—真の民主主義を根づかせるために」をテーマに集会が行われます。また現在、憲法改悪に反対する署名活動を行っています。京都教区部落解放センターが地区内近江平安教会に設置され働きをしていますが、地区も滋賀同宗連活動と共に、センターの働きに参与しています。  2019年度は、井上正道さん(長浜教会)、桑原博文さん(今津教会)、須賀舞さん(石山教会)、3人の教師が就任し働きを共にいたしました。また、草津教会は教会堂の耐震補強工事を実施、近江平安教会は豪雨や台風により教会堂・牧師館・解放センターに大量の雨水侵入があり、外壁防水塗装工事を行いました。彦根教会は、「創立140年記念文集」を発行いたしました。  これからも、皆さまには滋賀地区のためにお祈りをお願いいたします。 両丹地区長 丹陽教会 徳舛和祐 「大江山生野の道は遠うけれど〜」と和歌にあるように、京の西山の沓掛、大枝、老の坂を超えての丹波路を天橋立まで行くには、かってはあまりにも遠い道のりであったろうと思います。その鬼が棲んだ土地にも、夜久野、北丹峰山、丹後宮津、そして生野(現:福知山)には、難攻不落の城を構えた明智光秀の城があり、その裾に福知山と、各教会がキリストの香りを放っています。滔々と流れる由良川のほとりには、大江野の花教会、水源の里にたつ物部教会、蚕を紡ぐGUNZEを素とする丹陽、軍港の街に平和の尊さを謳う東舞鶴教会、また胡麻・須知・園部・亀岡会堂を統べる丹波新生教会も、保津川の辺にあって地域に親しまれる教会として働いています。往く川の流れが変わらぬごとく主イエスの語る言葉は、いつの時代になっても不変なごとく、「源」として教会は立っていなくてはならないと思うのです。滔々と流れる大河も、その素は一滴のしずくから発することを覚えて、各教会員、牧師は「キリストに倣う者」として手を携え頑張っています。朝早くから畑に出なくてはならない、梨やブドウに袋掛 けしなくては、せっかく生えそろった稲穂がシカに食われ全滅、ジャガイモも生姜もイノシシに掘り起こされた、トウモロコシをハクビシンが倒して食ってしまった。スイカを猿が抱きかかえて持って行った。クマが川を渡って出没しているから注意。栗はどう!枝豆の出来は? そんな話も礼拝後に聞かれます。  縦に長い地域に散らばる地域、成り立ちも歴史も、遣わされた牧師にもそれぞれの特色があります。でも、聖書から伝わる御言葉の思いは一つです。折あれば「四季を通じて実り豊かな丹波路へ」「起こしや〜す」。そして、各教会を「お訊ねやす」。 京都南部地区長 室町教会 浅野献一 「つながり・知りあい・みらいを仰ぐ」京都南部地区へと  京都南部地区は、2019年度からひとつの試みとして常任委員会のもと、3つのプロジェクト—みらいプロジェクト☆・「祈り・知り・あい」プロジェクト・教会お助けプロジェクト(仮称)を始動させています。  それらの働きはむしろ、全く弱り、頭を抱えざるを得ないような中から生え出でさせられた恵みの枝たちです。  各部・委員会の内、半数が休止(伝道、教育、社会、広報、部落差別問題)状態で、地区常任委員会の諸活動(合同礼拝等)さえも担うことが困難になってしまう状態の新年度。この事態を受けて前年度六役、新年度四役、常任委員会が話し合い、地区とつながって頂ける方々にお声かけをし、4月、7月に「地区のこれからについて」真剣に、熱く話し合いました。  その燃えさせられる話し合いの最後に、不思議ですが自然と、3つの働き—こどもを中心としたみんなの“育ち”のため(みらい☆)、まず隣りの伝道所・教会の喜び、悩みも知り合うため(祈り・知り・あい)、そして具体的に助け、つながる情報ステーションとなるため(教会お助け)の「つながり・知りあい・みらいを仰ぐ」働きが与えられました。 今までの教師部、音楽部、信徒部、女性部、青年部の働きをますます活発にし、それらの部と共に働き、また横断的に活かしあう横糸として、このチャレンジが主によって生かされ、諸伝道所・教会のみらいが青空のように広がることを今、祈り、活動しています。  それぞれの伝道所・教会の働き・課題をサポートする京都南部地区として、つながるための「虹架けの働き」をしていくことを主にあって望んでいます。お祈り、よろしくお願いいたします。 京都南部地区青年部 吉居美緒 「輪の繋がりが強められ、広がること」  私達青年部は、京都南部地区に関わりのある若者同士の交流(新入生歓迎BBQ、クリスマス会)や、教区同士の交流(大阪・兵庫・京都3教区交流ソフトボール大会)、フィールドワーク(2月開催予定)を今年度の主な活動内容としています。 フィールドワークを除く活動の多くは、青年部が中心となり、その周りにおられる方々への働きかけであると考えることができるでしょう。つまり、青年部の外側への働きかけであるということです。しかし、私自身が強く感じているのは、そうした活動は青年部の内側への働きかけにもなっていたということです。青年部に所属する前から知り合いであったり、友人であったりと、一定の関係性はありましたが、青年部に所属し、顔を合わせて会議をし、実際に身体を動かして準備をし、そして共に食卓を囲むなかで、少しずつ関係性が深められ、仲良くなっていく感覚がありました。それは私にとってとても嬉しい出来事でした。世の中には人の輪が多くあり、その輪が社会のなかで多様に機能していると思います。京都南部地区青年部という輪の繋がりが強められ、そして外側へと広がることが、私達一人一人にとって、また社会にとって良いものとされますようにと願っています。  末筆になりましたが、教区、それに所属する教会のお支えにより、私達は青年部として活動することができています。感謝いたします。私達の活動は小さなものではありますが、どうかこの活動が教区や教会のお支えへの応答となること、延いては神様の御旨に適うものとされることを信じ、来年度も活動したいと思います。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。 教会とセクシュアル・ハラスメント 八幡ぶどうの木教会 谷口ひとみ セクシュアル・ハラスメント 「していませんか?」 「されていませんか?」 「見ていませんか?」 「見過ごしていませんか?」  上記の言葉が大きく書かれているのは日本聖公会京都教区セクシュアル・ハラスメント防止委員会のポスターである。なかなかストレートでインパクトがある。知っている人も多いと思われるが、同教区では1980年代に起きた牧師による複数の女児への継続的性的虐待事件で被害者が2001年に損害賠償裁判を起こした。被害者はPTSDに苦しみ成人してから訴え出たのだ。2005年に被害者が勝訴しているが、教区内での取り組みの経緯は必ずしも「順風」ではなく、さまざまな困難を伴ってきたようだ。  わたしたちの日本キリスト教団で起ったセクシュアル・ハラスメント事件裁判も同じ2001年に提訴された。どちらも加害者は男性牧師であった。ハラスメントは立場の強い者が加害者になってしまう場合が圧倒的に多い。立場の強い者は擁護者も多いので、被害者の声は届きにくいという構造的問題がある。「事件」にまで至らない場合や、加害者にとって認識されない場合等はさらに表面化が困難で、被害者が尊厳を傷つけられながらも密かに教会を去ってしまうというのは「教会あるある」の一つである。構造的問題のある中では先のポスターの4つの問いかけが、必要な人の胸にきちんと届くには、その前に越えるハードルが多くあるようにも思う。  さて、来週1月27日に第9回「セクシュアル・ハラスメントに関する協議会」が倉敷で開催される。これは前日26日から開催される性差別問題連絡会第16回全国会議in倉敷に引き続き行われるもので、同連絡会が継続的に取り組んできている。これまで各教区での取り組みや相談窓口での課題、情報などを共有する貴重な場として機能してきた。今年は懸案の「セクシュアル・ハラスメント問題全国ネットワーク規約」を制定し、教区を越えた連携取り組みに発展させてゆく予定である。取り組みの輪が確実に広がっていることを多くの人に伝えたい。 (このコラムはセクシュアル・ハラスメント問題小委員会が担当しています) (2020年1月24日記) 部落差別問題特設委員会・近江平安教会 鳥井新平 教区部落解放セミナーを当委員会が開催した。2019年9月15日(日)15:00〜17:30於洛南教会、出席11名。講師は奥田均さん(近畿大学教員・人権問題研究所)。 今回のテーマは、2016年12月に制定された「部落差別の解消の推進に関する法律」(略称「部落差別解消推進法」)。講師は今回の法制定のいきさつと背景、特徴と歴史的経緯について、時に大局的に、時に微に入り細に入り話された(法律本文は短く、自治体HPなどネットで簡単に読めるので各教会などでご確認ください)。 この法律は、わずか6ヶ条の理念法だが、中身は濃い。しかも行政用語の「同和」という言葉を使わず、直球で「部落」を前面に出して問題の本質に切り込んでいる。奥田講師は「まず第1条を読んでみましょう」と朗読され、「切れ目のない長文の悪文に見えます」と会場を笑わせ、「でもね、なんとか部落差別のない社会を実現しようとする名文です」と解説された。  実は、部落差別とその解決の責務を明文化した法律は過去に一つも作られず、財政面での時限立法しかなく、それも2002年に終了した。だから今回の推進法が、「部落差別のない社会の実現」という言葉を法律の目的・基本理念に明記して初めて制定されたことは、日本社会にかつてない歴史的・画期的なことであると、講師は時代の推移をたどりつつ説明された。  国の責務であり、国民的課題である部落差別問題が、1960年代から住環境改善などで、「写真で見える部落差別」が減り、就労や進学や疾病など数値化される「グラフや表で見える部落差別」が減り……、しかし現在では、街頭で被差別部落に対するヘイトスピーチがなされ、インターネットに部落差別的な書き込みがあふれている。これを講師は、「こっそりひっそりされていた差別」が今や「堂々と公然とされる差別」に変わっていると指摘した。今回の法律制定の必要性はそうした現状による。  同時にこの法律は、国際的要請にこたえたものでもあった。2020年東京五輪・パラリンピック開催のため、国際的な基準を満たす人権擁護の法整備が迫られた。国際人権宣言に基づく条約を各国が批准して国内法を整えていく世界の流れの前で、日本政府は、いつも足踏みをしてきたが、それが国際的に通用しなくなり、政府を動かしたのである。近年の日本社会は、ヘイトスピーチや、障がい者差別・男女差別、またLBGT・アイヌ・ハンセン病者への差別、DV/児童虐待など、上記の傾向の中で法律制定など国内意識が変化してきたという経緯がある。 しかし、人権の問題は、決して政府まかせでは解決しない。日本国憲法12条にうたわれる「国民の不断の努力」により平和憲法の精神と人権を尊重する暮らしを確かなものにしていかねばならないと痛感した。講師が言われた、「部落差別解消推進法が制定された2016年は日本の人権のターニングポイントとなる年です。この法律を広めていきましょう」との言葉が、学習会帰途、私の脳裏に響き続けていた。 京都教区につらなる皆さん!「部落差別解消推進法」をまず読んでみてください。そして、教会でそのことを語り合ってください。きっとイエスの福音につながる解放された魂と共同体の姿が、そのなかで共有できると思います。 障がい者問題特設委員会 田村ふみ子  昨年11月12日、同年5月に場所を移して新築オープンされたほっとハウスに訪問しました。ほっとハウスは宇治市にあり、木を基調とした3階建ての建物で、随所に利用者の作品が飾られ、以前の建物にはない暖かい雰囲気に溢れていました。  活動形態は地域活動支援センター㈽型で、職員(常勤・非常勤)は13〜14名、生活訓練・生活介護を行うショートステイで普段20〜30名が利用されています。 利用者さんたちが「ほっと出来る場所です」と言われたのが印象的でした。3階建ての新しい活動しやすい場所で、これからも心の通い合う関わりが深められていくと思いました。「とうがらし通信」の文章全てにふりがなが付けてあり、心の暖かさを感じました。  お互いに笑顔を引き出してくれているほっとハウスのみなさんがとても素敵で、お一人お一人が語ってくれる言葉に飾りがなくて、そこにいる姿が自然でした。それぞれが、ありのままでいられることを自分にも、他の人にも許し、それが心地良いことを体感されているためか、とても居心地が良かった。美術も楽しく、忘れていて探していた感覚を見つけ出せた感覚です。強制されない、期待されない、批判されない、その空間と環境だからこそ表現できるものがあり、それが一人一人にとっての芸術・アートなんだと実感でき、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。  利用者の方々・職員の方々に感謝します。 今回の一参加者が作った俳句を掲載し、まとめとさせていただきます。 ・冬木道行けばほっとハウスのドア ・小春日や拍手をされて誕生日 ・パステルを重ねて聖樹描かれをり ・ネコ抱いて抱かれてをりぬ小六月 ・後悔の暇などなくて木の葉髪   2019年9月3日(火)〜5日(木)に第49回日本基督教団「みんなの伝道協議会(旧・開拓伝道協議会)」が京都教区両丹地区の丹波新生教会の4会堂などを会場に開催されました。 報告1 室町教会 浅野献一  “教会は、その場で生活し、祈り、支えておられる方々に、生ける神さまが働いて生かされている” 今回、「みんなの伝道協議会」に参加の機会が与えられて感じたのは、そのことでした。  実際に、今回(2日目部分参加)、丹波新生教会のそれぞれに歴史も背景も町も違う3会堂(園部、胡麻、須知)に行かせていただき、その場所で生きられ、祈られているお一人おひとりのお話を聴きました。そのそれぞれの在りようの違いとその熱い祈り・願いの中にこそ、「主はここに生きておられる」という神さまの現実(リアル)を強く感じさせていただきました。教会を地域に開放した園部、暮らしの時間で礼拝を守られる胡麻、そしてその場で粘り強く「キリストの身体」のため祈られている須知。豊かだと本当に思いました。教会は、やはりその場で生きておられる方々の祈りでたてられていることを参加の皆さまのお話でも実感し、心熱くされました。 本当によい機会を準備してくださった委員の方々、強く参加を推してくださった今井牧夫教区議長、そして何よりも快く教会へと招いて下さった丹波新生教会のお一人おひとり、神さまに深く感謝するばかりです。 報告2 西陣教会 俣田浩一 2019年9月3日(火)〜5日(木)に第49回日本基督教団「みんなの伝道協議会(旧・開拓伝道協議会)」が京都教区両丹地区の丹波新生教会を会場に開催され、全国8教区から24名が参加しました。元々は前の年に計画されていたものですが、台風で中止となり、1年遅れとなりました。プログラムは初日は亀岡会堂で丹波新生教会前牧師の竹ヶ原政輝さんの主題講演、2日目はフィールドワーク、そして最終日は聖書研究と全体協議が行われました。  私は2日目だけ参加し、マイクロバスに乗り、丹波新生教会の内の3つの会堂(園部・須知・胡麻)を宇田慧伍牧師の案内で訪れました。園部会堂では子供達が放課後に卓球やゲームが出来るように会堂を解放して、地域の人々への積極的な働きかけをされていました。入口に「中で卓球ができるらしい」「牧師さんはワイン通らしい」などと書かれて、興味を引いてもらう工夫がなされていました。須知や胡麻の会堂では、集会の日時を各々ずらすなどして教会活動が行われていました。車中で聞いた「丹波ヨブ」の話も印象深く、明治期の丹波伝道がこの地で篤い信仰者を生んだ歴史を知りました。 高齢化と過疎化の中で、しかし伝統ある伝道地域に根差した丹波新生教会の「合同教会」の活動に、牧師や教会間で必要な協力体制を現場で学ぶことができました。 教区新任教師の紹介 「拝啓、お元気ですか。わたしは元気です。京都の美しさや優しさに囲まれて、とてもいい感じの歩みです」平安教会 小笠原純 2019年7月1日に、平安教会に赴任をいたしました。12月にクリスマス、2020年、新しい年を迎えて、ようやく赴任をして、半年が過ぎたところです。  平安教会のある岩倉は、京都市でも北の方にありますので、赴任をする前に「小笠原さん、岩倉は寒いで」とよく言われました。若い時に新潟県三条市で牧会をいたしましたので、まあ寒さは大丈夫ではないかと思っていましたが、でもやっぱり寒いです。若い時とは体の感じ方も違うのでしょう。それでも秋の紅葉はうつくしく、とても良いところだと思っています。春の桜も楽しみです。 慣れないことばかりですので、毎日があっという間に過ぎていきます。桝田翔希伝道師にいろいろと教えていただきながら、楽しく牧会をしています。一人で牧会をするのとはまた違った楽しさがあり、とてもうれしい経験です。若い伝道師と一緒に働くと、いろいろな新しい刺激があります。めずらしいものを目にすることができます。伝道師室に最近、新しくAmazonEchoがやってきました。伝道師室に行って、「アレクサ、今日、何曜日。もう次の日曜日の週報できた」などと話しかけたりしていますと、こころが和みます。 平安教会は2019年12月10日に、教会創立143周年を迎えました。神さまが私たちの教会を立ててくださり、私たちに豊かな恵みを与えてくださっていること、そして神さまの証人として用いてくださっていることを、共に喜 び合うことができました。これからもお祈り、お支えくださいますよう、よろしくお願いいたします。敬具。 今後の予定 2020年度京都教区総会 2020年5月18日(月)10:00〜19日(火)15:00 於:平安教会 訂正 前回発行した教区ニュースの「教職謝儀委員会」名簿に、大下真弓さん(京都葵教会)の名前が抜けておりました。お詫びして訂正いたします。 宣教部委員に山下維久子さん(向日町教会)が加入されました。 編集後記  ここ最近コロナウィルスの影響によって、様々な集会が中止や延期となり、世界が「見えない不安」に覆われています。しかし、その不安によって閉ざされていく現実を前にしても、私たちには、「見えないみ心」が、希望として与えられていることに思いを馳せたいと思います。また、この状況は、自らがおかれている日常のあらゆる当たり前について、立ち止まり、ゆっくりと見つめ直すときとして与えられている時間なのかもしれません。「弱い時にこそ私は強い」と言った、一人のキリスト者のように、不安に弱りを覚えるこの時にこそ、私たちが強められる何かがあるはずです。2019年度の2刊目となる教区ニュースが発行されました。寄稿いただいた皆様に感謝すると共に、ここに記された様々な働きと声を通して、励ましとなる見えない希望が見出されることを切に願います。(T.U) デナリオン瓦版 こんにちは!教職謝儀委員会です。毎年1回この時期に「デナリオン瓦版」として皆さんにデナリオン献金の現状や報告、またお願いをさせていただいています。どうぞ、趣旨をご理解くださり、ご協力をお願いいたします。 京都教区では、教区の宣教連帯の働きの一つとして、デナリオン、教職互助、クリスマスなどの献金に、教区経常会計繰入を合わせて、教会謝儀支援のために用いられています。教区内の諸教会に連なる皆さんが、それぞれの教会の働きを覚え、支えて下さるこれらの献金に心から感謝いたします。昨年度は52の教会と、10の個人・団体から4,582,454円の献金をいただきました。ありがとうございました。  また今年度は、安土教会、宇治大久保伝道所、近江平安教会、上鳥羽教会、京都上桂伝道所、京都西大路教会、城陽教会、丹後宮津教会、長浜教会、西小倉めぐみ教会、向島伝道所の教会・伝道所に、総額722万円の教会謝儀支援金をお送りしています。 デナリオン献金とは? 詳しくは、デナリオン献金の封筒、依頼状に同封させていただいている「デナリオン献金参加の呼びかけ」のパンフレットをご覧いただければと思います。1992年から始まったこの献金運動は、規則の上では変化がありましたが、教区内の宣教を担う教会への支援として、全教会・全信徒・全教職が参加する、宣教連帯の働きとしては、当初から変わらずに続けられています。 現在は、経常収入450万円以下の教会・伝道所が、主任担任教師の謝儀支出が困難な場合、年100万円を上限に申請できる制度です。詳しくは教区総会議案書巻末の「教会謝儀支援規則」を御覧ください。毎年皆さんからいただくデナリオン献金などが約450万円、これに教区経常会計の1割弱にあたる約280万円を加えた額が、支給総額となります。なかなか申請額通りの支給はできていませんが、少しでも宣教を担う教会・伝道所の働きを支えたいと願っています。 お願いとご報告 今後の見通しは厳しいものではありますが、委員会としては希望を持ちつつ、少しでも皆さんにご協力いただき、収入の増加を考えています。教区内の諸集会で1杯100円のデナリオンコーヒーを販売したり、神学教師、教務教師、隠退教師にも献金の依頼をしています。また各教会にデナリオン担当者を選出していただき、連絡を取り合いながら献金運動の向上に取り組みたいと考えています。教会でまだ担当者を選出しておられないところがありましたら、至急、選出していただき、委員会へお知らせ下さい。 各教会のデナリオン担当者に、現状の説明と、担当者の相談事などを共有するために、今年1月26日(日)に「デナリオン担当者懇談会」を開催しました。少しでもこの輪を広げていくために、様々なアイディア等が出され、委員会としても今後の活動に活かしていきたいと考えています。各教会・伝道所においても経済的には厳しい状況があることは承知の上ですが更なる祈りとご協力をお願いしたいと願っています。